理事長挨拶

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日本眼腫瘍学会は1983年(昭和58年)に研究会として発足し、年一回の学術大会を重ねながら、2011年(平成23年)の福島大会からは学会に改組されました。日本眼科学会の関連学会として、眼部腫瘍性疾患の診療および研究を行っています。我々が扱う眼腫瘍は、小児から成人・高齢者まで幅広く、眼球内と眼付属器(眼瞼、結膜、眼窩、視神経、涙器)に種々の種類の腫瘍が生じます。悪性腫瘍に限ると年間発症が3,000人程度の希少疾患ですが、良性腫瘍や炎症性疾患も対象としています。多くの種類の腫瘍が生じ、個別の腫瘍は超希少疾患ですが、その疫学、診断、治療、病理学、分子生物学、腫瘍学などについて、学会という場で知識を共有し、議論を重ね、診療体系を確立していくことを目標として活動しています。会員の大部分は眼科医であり、視機能ならびに整容面を考慮した治療を心がけています。

我々が扱う眼腫瘍は、疾患の希少性のため個々の医師の診療経験は限られ、診断の遅れや最適ではない治療選択もまれではありません。診療経験の蓄積は診療レベルの維持に必要であり、診療を中核となる施設へある程度集約化するとともに、適切な情報発信を行うことで情報の共有・均点化を図ることが診療体制の維持に重要と考えています。

腫瘍という側面からみると、がん対策基本法やがん対策推進基本計画など、施策面でも重要視されています。腫瘍という大きな枠組みの中で、施策や、がん関連学会との連携を図り、ともに発展することが重要と考えます。

会員数が200名程度という小さな学会ですが、学会として疫学情報の収集、AI診断技術の開発を行っていて、今後は分子機構の解析なども必要と考えています。希少疾患ゆえに学会という場を活用し、患者さんが適切に診断され、最適な治療を受けられるよう、適切な情報発信、新規技術の開発、後進の育成などを図りたいと考えています。

2023年11月吉日

日本眼腫瘍学会 理事長

鈴木 茂伸